有料老人ホームの現状と制度の改正について
2006年4月より、介護保険制度が平成12年の制度施行以来初めての大きな改正が実施されました。
同時に有料老人ホーム設置の根拠法である「老人福祉法」の大幅改正も実施されました。
以下、これらの改正ポイントについてご紹介いたします。
                                                  ※参考資料:協会情報誌「輝ニュース」より

1.有料老人ホームの現状
 平成12年の介護保険制度施行は、有料老人ホームに大きな変化をもたらしました。
それまでは全てご入居者の自己負担のみで運営されていた有料老人ホームが、
介護部分のみではありますが初めて公費が入ることになりました。
 これを機にホーム数も、現在までの6年間で約5倍になり(表1)、
また従来の有料老人ホームとはタイプの違うホームが急増しています。

 ●介護保険施行以前のホーム  ●最近の主流
 −数千万円の入居一時金で居室は比較的広め。  −入居費用が低価格で居室は15u前後と小さい。
 −自立者向けが比較的多い。  −主として要介護者向けのものが多い。
 −共用部分が広い。  −共用部分は必要最小限。
 −規模が比較的大きい(100室以上)。  −規模が比較的小さい(50室前後)。
 −郊外型立地が比較的多い。  −都市型立地が比較的多い。
 −既存の寮やホテルなどを改装したものも多い。
●平成16年7月1日現在、全国の都道府県届出ホーム=980(厚生労働省老健局振興課調べ)●会員ホームガイド・輝22号の全国ホーム一覧(平成17年11月頃のデータ)のホーム数=1698


●平成12年度以降開設のホームは入居時要件として、「自立」のホームは
   比較的大規模なものが多いが、 「自立」の新規設立は極端に少なくなっており、
  それまでの「自立型」よりも「要介護」や「自立・要介護」のものが圧倒的に多く、
  「自立・要介護」のホームにも要介護向けが メインとなっている所が多い。

●有料老人ホームの急増による自治体の特定施設入所者介護事業参入規制もあり、
  住宅型の伸びも著しい。



2.老人福祉法の改正
 
 有料老人ホームを設置する際には、老人福祉法29条の規定に従い、該当するものについては都道府県に届出をする義務がありますが、今回の主な改正は下記の通りです。
 
現行の老人福祉法 平成18年4月施行の
改正老人福祉法
@ 10人以上の高齢者の入所
A 食事提供のほか、生活サービスの提供
B 老人福祉施設(特別養護老人ホーム、 軽費老人ホーム等ではない
C 都道府県知事への届出
以上の4つの要件を満たすことが、法律上の設置条件。
@ 人数要件の撤廃
A サービス提供要件の変更
B 帳簿保存及び情報開示の義務
C 家賃等の前払い金の保全措置義務
D 立ち入り検査の権限付与及び改善命令の公示義務
以上の点が改正されました。


@人数要件の撤廃  入居人数にかかわらず高齢者向けに事業として法律または省令に規定されたサービスを提供する施設であれば、全て「有料老人ホーム」となります。
Aサービス提供要件の変更  従来は、食事の提供及び日常生活上必要なサービスの提供が義務づけられていましたが、@食事の提供A入浴・排泄または食事の介護Bその他の日常生活上必要な便宜であって、厚生労働省令で定めるものとなります。
 以上にあげられているサービスの全て、若しくはいくつかの組み合わせや一つだけでも提供されていれば、有料老人ホームとなります。
 また、入居時点で一切サービスを提供していなくても、将来的に何らかのサービス提供をすることを約束していれば有料老人ホームになります。
B帳簿保存及び
  情報開示の義務
 有料老人ホーム事業について省令で定める帳簿の作成と保存の義務化。
 入居者及び入居希望者が希望した場合、提供する介護サービスの内容、その他省令で定める事項に関する情報の開示義務が法律に明記されました。
C家賃等の前払い金の
  保全措置義務
 終身にわたって受け取る家賃等の全部または一部(入居一時金等)を前払い金として一括で受領するホームは、
 
1. その算定根拠(その金額が何 のためのお金でどのような計 画に基づいて設定されているか)の書面による明示
2. 返還債務が生じる場合の保全措置を義務づけられます。詳細は省令で規定する予定ですが、
保全措置を講じていないホームについては、平成18年4月以降、都道府県・市町村への届出が受理されなくなり、有料老人ホームを開設することができなくなります。
D立ち入り検査の権限付与
  及び改善命令の公示義務
  都道府県が入居者保護のために必要と認めた場合に、立ち入り検査をする権限が付与されました。また、結果改善命令が出された場合には、その命令の趣旨を公示することが義務づけられました。



3.介護保険と有料老人ホーム

有料老人ホームは、「指定特定施設入居者生活介護」という名称で、
介護保険上は在宅のサービスの一つと位置づけられ、
ホームが所在する各都道府県の指定を受けます。
 指定を受けたホームでは、入居者はホームが提供するサービスを
介護保険サービスとして利用できます。
 今回の介護保険制度改正の中で、特に有料老人ホームに関わる大きな改正のひとつに
要介護認定の変更があります。

要介護認定の変更
現 在→ 要支援、要介護1〜5の6段階
改正後→ 要支援1〜2、要介護1〜5までの7段階

要支援1〜2と認定されると、現状要支援認定者に提供されているような家事援助サービスではなく、
自立支援を推進するための介護予防サービスが提供されることになります。

これに伴い「特定施設サービスの利用料」も変わります。