“エイジフリー・ライフ通信”は施設内情報誌です。
ご入居されますと様々なイベントやツアーなどがございます。
その一部をご紹介いたします。
「エイジフリー・ライフ星が丘」嘱託
言語聴覚士・認知症ケア専門士
高松 直子先生


1.失語症とは?
一旦穫得された言語機能が、大脳の損傷によって低下ないし消失した状態をさします。簡単にいうと、それまで普通にことばを話して社会生活を送っていた人が、大脳の病気をきっかけに、話す能力、聞いて理解する能力、書く能力、読んで理解する能力がそれぞれ多かれ少なかれ影響を受け、考えていることを話しことばや文字で表現できなくなったり、話しことばや文字を理解できなくなった状態のことです。

 失語のタイプには大きく分けてふたつあり、一つはブローカー失語など、聞いて理解する能力に比べ、話す能力に障がいが重く出るタイプ。もう一つはウェルニッケ失語などなめらかに話すが言い誤りが多く、聞いて理解する能力に障がいが重くでるタイプです。その他に全失語や伝導失語、失名詞失語などがあります。

●失語症をきたすおもな疾患
1.急性発症のもの
 ・脳血管障害(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)
 ・脳外傷
 ・単純ヘルペス脳炎

2.発作性の失語症を反復するもの
 ・一過性脳虚血発作
 ・部分てんかん発作

3.進行性の失語症
 ・脳腫瘍
 ・変性疾患(アルツハイマー病、アルツハイマー型老年認知症、ピック病)

●失語症と間違えられやすい症状
 ・運動障害性構音障害(発生や発音に必要な筋肉の運動障害)
 ・認知症(言語の障害の他に、記憶、見当識、判断力も障害される)
 ・記憶障害
 ・その他、心因性のもので、声が一時でなくなるもの


聴力の低下のためにことばが聞き取れない、視力の低下があって字が読めない、発声に必要な筋肉がうまく動かないためにことばが話せない、上肢の麻痺のため書字できないなど、要素的な機能の低下によるものは、失語症には含めません。

2.失語の人とのコミュニケーション
*基本的姿勢
子ども扱いしない:失語症は判断や記憶の障がいではありません。
落ち着いた雰囲気:周囲の人の忙しそうな様子は、あせりを誘発します。
お互いの表情がわかる位置取り:違和感や威圧感を与えないよう気をつけ、できれば非麻痺側(右麻痺の人なら左側)から話かけます。

*よい話し手、聞き手になるために
ゆっくり、短くわかりやすいことばで話しましょう。
大きな声で話す必要はありません。聴力の低下はありません。
急に話題を変えないで、変えるときは予告をしましょう。
待つ姿勢をこころがけ、相手が何を言いたいのか(意図)に反応してください。
イエス、ノーで答えられるように質問を工夫してください。

*話しことば以外のコミュニケーション手段を工夫
50音表は失語症の人のコミュニケーションの支援にはなりません。
文字(漢字単語など)を書いて見せ、ゆび指してもらいましょう。
視覚的情報として、絵・写真・ジェスチャー・会話ノートなどを活用してください。

3.最後に
 適切な言語刺激が与えられることで、失語症の人の言語能力は、病前のレベルまでとはいかないまでも、ゆっくりですが回復します。ただ、失語症のリハビリテーションの場合は、体の場合と異なり、本人が声を出したり話そうとしないかぎり成立しません。また、コミュニケーションは、発語だけではなく、ジェスチャー、視線、態度、断片的な言語表現などの非言語的な表現からでも可能ですから、失語症の人と周囲の人がお互いに伝え合う工夫をすることが大切です。こういった点から、リハビリテーションは病院の訓練だけでなく、その人の生活する場に根ざして行われる必要があります。また、趣味など楽しみを見つけること(生活の質の向上)は「言語能力の向上」につながります。楽しいという気持ちが話そう、伝えようという気持ちを自然に起こさせるのです。また、これらのことは失語症の人だけでなく、高齢者の方々にもいえることなのです。介護する側もされる側も楽しい笑顔のある、思いやりのあるコミュニケーションを心がけ、楽しい生活を送っていただきたいと思います。


*引用文献 新・失語症患者の看護(ブレインナーシング)」(メディカ出版)、「失語症リハビリテーションガイドブック」(大阪府地域リハビリテーション推進委員会)、「ことばの海へ」(遠藤尚志 筒井書房)、「高次脳機能障害のリハビリテーション Clinikal Rehabilitaition別冊」(医歯薬出版)



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