“エイジフリー・ライフ通信”は施設内情報誌です。
ご入居されますと様々なイベントやツアーなどがございます。
その一部をご紹介いたします。

高齢者の健康管理について
〜医療の立場から〜

エイジフリー・ライフ星が丘
かかりつけ医 広瀬医院 院長

広瀬 徹 先生


はじめに
高齢者の方々が集団生活をおくる施設では、介護士をはじめ、看護師、機能訓練指導員、薬剤師など、さまざまなスタッフがそれぞれの役割を分担して、入居者の生活を支えています。では、医師はどのような立場で関わっていくべきでしょうか?

「入居者と医師」の関係は、病院における「患者と医師」の関係とは基本的に異なってくると思います。入居されるご本人や家族の方たちは、病気を治す事を目的にこられるのではなく、第二の生活の場として、穏やかに、楽しく生活を過ごされる事をのぞんで施設を選ばれるのではないでしょうか。

ですから、施設における医師の立場は、「入居者の健康的な生活の妨げとなる、病気を予防、治療、緩和する」立場であり、すなわち「生活の質の向上を最大の目的とする」という意味においては、他のスタッフの方たちと同じ立場にあると考えます。

それでは、「健やかな生活の妨げとなる病気」を未然に防ぐにはどのような点に留意していけばよいのでしょうか?

高齢者の特徴
一般に、高齢の方は健康を維持するための機能や回復力が減弱しています。具体的には、
  • 免疫力の減弱…容易に肺炎や尿路感染症などの感染症に陥る。
  • 身体的、肉体的能力の減弱…転倒、骨折を起こしやすい。
  • 認識力、判断力の減弱…誤った判断から起こる事故。治療への抵抗。
  • 肝臓、腎臓、肺、心臓などの臓器機能の減弱…薬剤に対する過剰な反応や副作用が起こりやすい。
などの特徴が認められます。さらには、悪性腫瘍、脳血管障害、心疾患の発生頻度が高いため常にその可能性を念頭においておかなければなりません。留意しなくてはいけない点はほかにもあります。
  • 生活習慣の固定化…生活習慣の変更が苦手。
  • 症状が非定型的…疾病が潜在化し、早期発見が困難。
  • 疾患の多発化…一つの疾病が他の病気を引き起こすなど複合的な病態を引き起こしやすい。
  • 恒常性維持能力の低下…容易に脱水や心不全に陥る。
以上のように、ご高齢の方々には生理的機能の老化を背景として発症する身体的・精神的機能の低下にともなう疾患・障害を起こす様々なリスクがあります。

対策としては、それぞれの疾患を念頭におき、複眼的に目を光らせながら、かつ、トータルに身体状態を捉えるアプローチで接していくしかありません。また、疾患そのものが、身体的・精神的機能の低下からくる廃用症候群(使われないうちに機能が低下する状態)と関わり合いがある以上、介護の面にも気をつけながら治療、予防の計画を考えていく必要があります。

さいごに
以上、高齢者の健康管理について、医療の立場から考えてまいりました。一般に、病気を早期に見出すには、あらかじめ疾患を想定しておくこと、患者さんから少しでも多くの情報を引き出す必要があると思われます。多くの情報を引き出すにはどうすればよいか?それは、「仲良くなる事」だと考えております。信頼関係を築けば、おのずとコミュニケーションの質は深まり、ちょっとした状態の変化や病気へのヒントが見えてくるようになります。ご高齢者に対し、人生の先輩として敬意を持って接する態度こそ、その近道であると考えております。






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