磯和歯科医院
(エイジフリー・ライフ大和田提携医)
院長 磯和先生
 
摂食・燕下(えんげ)機能障害とそのリハビリテーション
 ふだん私達は、何気なしに食べたり飲んだりしています。食べ物を認識し、噛んで飲み込みやすい形に変えます。それで舌をのどの奥に送り、燕下反射により胃に送ります。この一連の過程がうまく機能しない時、これを“摂食・燕化機能障害"といいます。その原因疾患の約40%が脳卒中で、その他身体各機能の低下した高齢者、舌やのど、食道の辺りの大きな手術を経験した人、脳性麻痺等の障害を持っている人達に、多く見受けられます。
 摂取から燕下へ至る過程には5つの段階があり、まず先行期という食塊を認識し口まで運ぶプロセスがあります。先行期は痴呆や脳性麻痺などにより障害をきたす可能性があり、その障害に対する対応としては経鼻経管栄養もありますが、まわりが食行動に対して集中できる環境を作る(カーテンを引く、テレビを消すなど)、詰め込み過ぎないように注意する、などの配慮も大切になります。また、誤燕性肺炎の予防として重要な口腔ケアも頬や唇への刺激が好影響をもたらすともいわれています。
 次に準備期、口腔期という植物の咀嚼、食塊の形成をそして食塊を口腔から咽頭へ運ぶプロセスがあります。まず口腔内の歯科疾患、すなわち歯牙の欠損等がある場合はそれに対する治療が必要になります。また、摂食時の姿勢や食品に対する配慮も重要です。我々は摂食時、座位かつ頸部前屈位の姿勢をとっています。誤燕しにくい姿勢としてはこの姿勢が推奨されますが寝た姿勢での食事を余儀なくされる場合などは、仰向けの水平位から30度起こした状態での頸部前屈位が良いでしょう。食品については適度な粘度があってバラバラになりにくく、かつ口腔や咽頭を通過するとき変形しやすいという性格のもので良いとされています。食品をミキサーで粉砕してゼラチンで固めたものが理想的なのですが、寒天はかえって変形しにくく舌での押しつぶしもしにくいため注意が必要です。
 口腔期に続く咽頭期、食堂期を合わせて燕下期といいますが燕下訓練の主なものを挙げます。まず代表的な燕下パターン訓練(大きく息を吸って止め、息を止めたまま唾を飲み込み、すぐに咳払いをする)、燕下体操(首を前後左右に動かす、唇を前後左右に動かす“ぱ”“た”“か”の発音訓練、つばを飲み込み、空咳したあと大きく深呼吸する)、アイスマッサージ(凍らせた綿棒に少量の水をつけ、軟口蓋や舌根部を軽く2、3回刺激した後すぐに空燕下させる)、氷なめ(氷をなめると、少量の冷たい水が刺激となって燕下反射が誘発されやすい)、口すぼめ呼吸、ストロー呼吸(口をすぼめてあるいはストローから吸ったり吐いたり)などがあります。
 いずれにせよ、専門医による適切な診断と各分野のスタッフならびに家族の方を含めたチームアプローチが必要ですし、簡単なことからコツコツと、が重要です
ナイス・ケア大和田「医師からの一言」
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